その他事項
政府公開のデジタル・ガバメント推進標準ガイドラインには個別で定義した非機能要件の他にも要件があります。 本項では、個別に要件をまとめるほどの記載量がない、要件として定めることができないため除外した事項について記載します。
前提
概要で記載した前提にある通り、モバイルアプリのみを対象に非機能要件を定義するため、バックエンドを対象に定義するものは対象外にする方針で記載しています。
要件内容
- 記載量が少ない個別事項
- 除外した事項
記載量が少ない個別事項
信頼性に関する事項
ここでの信頼性に関する事項とは以下の内容を指します。
情報システムの信頼性について、稼働率等を記載する。
モバイルアプリの稼働率はアプリクラッシュの発生頻度で定義します。 クラッシュの多発を放置することは、アプリの評価に与える悪影響が大きいです。 クラッシュ率が平均して高い、もしくは増加傾向にある場合は、原因を調査し必要に応じて対応します。
全体のシステム稼働率はバックエンド側を含める必要があります。 バックエンドを含めない前提事項より本事項から除外します。
拡張性に関する事項
ここでの拡張性とは以下の内容を指します。
情報システムの性能及び機能の拡張性要件について記載する。特に将来の機能改修や、社会情勢の変化、技術の変化、利用状況の変化等に対して、柔軟で効率的な対応を行うこと念頭とした要件を定める。
社会情勢の変化、技術の変化を想定した拡張性はコストが膨らみます。 考え方・アーキテクチャの整備を優先するこのアプリでは、上記以外の要件について定義します。
将来の機能改修
将来の機能改修に備え、次の方針でアプリを設計・開発します。
- コンポーネント間の疎結合化・共通化
- ルーティング、画面、サービス、APIなどレイヤー化による責務分離
- 共通コンポーネントの整備
- インタフェースを活用した特定ライブラリへの依存性排除
- CI/CDおよび自動テストの導入
利用状況の変化
利用状況の変化を把握するため、アクセス解析サービスを導入します。 機能追加・改善の検討材料として、その解析結果を提供できるようにします。 なおアクセス解析サービス導入にはシステム方式に関する事項に記載したクラウドサービス・ソフトウェア製品の活用方針と後述する中立性に関する事項を遵守します。
中立性に関する事項
ここでの中立性に関する事項とは以下の内容を指します。
情報システムの中立性については、いわゆるベンダーロックインの解消等による調達コストの削減、透明性向上等を図るため、市場において容易に取得できるオープンな標準的技術又は製品を用いる等の要件について記載する。
このアプリにおいて中立性が求められる対象は開発で採用する技術と外部サービスになります。 採用する技術および外部サービスはアプリの要件とシステム方式に関する事項に記載した選定方針を基に選定し、選定結果の中立性が保たれている根拠として以下を提示します。
- 使用技術とその採用理由、ライセンスを一覧化して提示する
- 調達および運用コストが必要となるプロダクトの導入については事前合意を形成する
- 主要となる技術については、その開発元やコミュニティの信頼度、およびサポートポリシーを明記する
その他にこのアプリでの特記事項が無かったため一般的な情報システム開発同等の考えを定めるものとします。
移行に関する事項
ここでの移行に関する事項とは以下の内容を指します。
本番環境への業務移行、システム移行及びデータ移行について、移行時期、移行方式、移行対象、移行環境等を記載する。
モバイルアプリケーションにおいて移行とは以下のことを指します。
Google Play/App Storeへの公開開始
Google Play/App Storeへの公開開始については以下の方針とします。
- Google Play/App Store共に審査承認後、自動で配信を開始する設定は使用しない
- ストアへの配信は審査承認後にアプリ運営側の意図したタイミングで配信処理を開始する
- ただし、配信処理を開始してから実際に各ストアでダウンロードできるようになるまでは1営業日程度の時間差があるので、これを考慮して配信処理を開始する
- アップデートが配信されるユーザを一定割合毎に区切って段階的に配信する方法は使用しない
MDMを通じて特定範囲内の端末への配信開始
このアプリではMDMを通じた配信について非機能要件の対象範囲に含まれていないためここでは定義しません。
バックエンド側のサーバリプレースによる移行
バックエンド側のリプレースによる移行は一般的な情報システムと同様の実施要項で実施します。
アプリのシステムアーキテクチャ変更更新に伴う並行公開
アプリのアーキテクチャ変更に伴う並行公開についてはサンプルアプリとしての内容から外れるのでここでは定義しません。
除外した事項
ここではこのアプリの非機能要件としては記載除外した事項についてその理由を記載します。
規模に関する事項
ここでの規模とは以下の内容を指します。
情報システムの規模について、機器数、設置場所、データ量、処理件数、利用者数等を要件として定める。
このアプリでの非機能要件の定義はモバイルアプリを対象としており、アプリ側は1人のユーザが少量のデータを保持するため、要件から除外します。 また、機器数の定義はバックエンドのトランザクション量を測る上で必要となりますが、上記理由により除外します。設置場所はユーザ端末の場所を定義できないため除外します。
継続性に関する事項
ここでの継続性とは以下の内容を指します。
情報システムの運用の継続性について、障害、災害等による情報システムの問題発生時に求められる機能、システム構成、その目標復旧時点及び目標復旧時間等を記載する。
この事項で記載する内容は障害・災害によって発生したシステムの問題に求められる機能や、障害からの復旧について定義しますが、これらが求められるのはバックエンド側です。 このアプリでの非機能要件の定義はモバイルアプリを対象にしているため除外します。
情報システム稼働環境に関する事項
ここでの情報システム稼働環境に関する事項とは以下の内容を指します。
クラウドサービスの構成、ハードウェアの構成、ソフトウェア製品の構成、ネットワークの構成、施設・設備要件等について要件を定める。
この事項で記載する内容はより具体的なシステム構成を定義しますが、このアプリでの非機能要件の定義はモバイルアプリを対象としているため除外します。
引継ぎに関する事項
ここでの引継ぎとは以下の内容を指します。
情報システムの開発、運用等について、他の関係事業者への引継ぎに関する要件を定める。
上記についてこのアプリでの特記事項が無かったため一般的な情報システム開発同等の考えを定めるものとし除外します。
教育に関する事項
ここでの教育とは以下の内容を指します。
情報システム部門、業務実施部門等を中心とする情報システムの利用者に対する教育について、教育対象者の範囲、業務実施手順やシステム操作説明等のマニュアルの作成、教育の方法、研修環境等を要件として定める。
上記についてこのアプリでの特記事項が無かったため一般的な情報システム開発同等の考えを定めるものとし除外します。